歯科衛生士は、3年以内の離職率が他の職種と比較して高いと言われています。
この記事では、歯科医院の人手不足解消のために知っておきたい「歯科衛生士の離職理由」や「効果的な対策方法」を徹底的に解説します。
ぜひ参考に、優秀な歯科衛生士の採用率・定着率アップにつなげてください。
歯科衛生士の転職・離職事情
歯科衛生士は離職率が高く、定着率も悪いと言われています。その理由として、新卒の歯科衛生士の有効求人倍率は非常に高くなっており、歯科衛生士不足が顕著に表れているようです。
2020年3月に公益社団法人日本歯科衛生士会がまとめた「歯科衛生士勤務実態調査報告書」によると、転職を経験している歯科衛生士は76.4%にものぼっているそうです。そして、さらにその中から3回以上の転職を経験したものは37.2%、4回以上も19.6%と高い転職率になっています。これは歯科衛生士の4人中3人が転職を経験している事になり、歯科衛生士の定着率の低さがわかる数字となっています。
そして、一般社団法人全国歯科衛生士教育協議会がまとめた「歯科衛生士教育に関する現場調査の結果報告」という調査報告では、2021年度の新卒歯科衛生士の有効求人倍率が、22.6倍という高い倍率になっています。有効求人倍率が高いということは、歯科衛生士が売り手市場にあるということ。歯科医院としては、優秀な歯科衛生士を獲得することがより困難になってしまうため、医院によっては人手不足解消が非常に困難になってしまう可能性があります。
歯科衛生士が離職・退職する5つの理由
歯科衛生士の離職率の高さは分かりましたが、では、なぜここまで歯科衛生士の離職率が高いのでしょうか?
歯科医院の人手不足解消のためには、離職理由を正しく理解して対策をしていくことが重要です。
ここからは、SNSなどの口コミも引用して歯科衛生士が離職・退職する5つの理由を見ていきましょう。
理由①ライフステージの変化
苦労して歯科衛生士を雇っても雇っても結婚、産休、旦那さんの転勤。右から左。
— 歯科の虎 (@shikanotora2021) February 20, 2025
離職率の高さは、女性がほとんどの割合を占めている歯科衛生士業で『結婚・出産・育児』が1番多い原因だと思っています😊
育児中にパートのような片手間に出来る業務形態でない場合が多い事も復帰しずらい要素になっていると思います🧐
— いつもご機嫌なゆるゆる🦷👶 (@Yuruyuru39Happy) January 27, 2025
上記の口コミのように、女性が多くを占める歯科衛生士は、ライフステージが変化した事による転職・離職が多いようです。特に働き盛りである30代〜40代では、大きな人生の変化を迎える歯科衛生士も多く、結婚に伴う転居や夫の転勤や異動、出産などのライフステージの変化が、転職をする大きな要因にもなっているようです。
理由②給料や待遇面の不満
国家資格をとってしまった為にそれに縛られてる自分がいる(自分の意思。笑)
早く転職したいけど今はまだ無理…転職を考えるくらい好きにさせてよ、やる事ハードなのに給料安い気がするよ。みんな歯科に多くを求めすぎだよ。と最近感じる。
歯科で働いたことある人は分かると思う。— はじたま®︎👶6y (@hajitamababy) September 5, 2024
歯科衛生士、国家資格なのにサービス残業多すぎて給料低いから休みの日もバイトしようと求人見たら時給1500円……夜のコンビニバイトと同じやないか……😇
あんなにキツイ試験や実習を乗り越えたのにコレか……😇— みぃ (@Harurururu0930) January 7, 2025
このように、国家資格を持っていても、決して給料が高いとは言えないのが歯科衛生士です。そのため、その給料や待遇に不満を覚える歯科衛生士もいるようです。また、開業歯科などでは産休の制度がないことも多く、大きなライフイベントに不安を感じる声も少なくないようです。
また待遇面での不満もありますが、厚生労働省「歯科衛生士の復職支援等に関する調査研究事業報告書」(2021年)によれば、研修などを実施する事により離職率の低下が緩和されるというデータも出ており、年間の研修が2回以下の環境ではそれ以上の環境に比べて離職率が1.2倍高いという報告も上がっています。
理由③職場環境や仕事内容への不満
違法行為してるくせに
圧倒的に歯科衛生士が足りてなくて助手の違法行為は黙認されてるから。
そうしないと歯科医院はなりたたないから。ってドヤ顔で言われたよ。
うちはやましいことしてないけど、やめた理由はうちとは合わなかったからって事にしといてねだって笑
ほんとうける笑— まりりん (@maririn23bi) February 17, 2017
歯科衛生士やめたいなぁ😭本当に向いてない。仕事内容も働き方も向いてない😭
— ゆきんこ☃️ (@LOhFUQKOrWrJREW) December 9, 2023
上記の口コミのように、歯科助手が歯科衛生士的な仕事をさせられたり、いわゆる違法業務を行う歯科医院もあるようです。その他にも、コスト削減のためリーマーをアルコール消毒で使い回したり、衛生資材を使い回したりするなど不衛生な職場環境が日常的な歯科医院もあるかもしれません。このような環境は、優秀な歯科衛生士ほど耐えられないと感じることが多く、歯科衛生士が退職する理由のひとつとなっています。
職場環境は、残業時間が月20時間を超える環境では約1.5倍の離職率があるということが分かっています。残業が多くなるとライフワークバランスの両立も難しくなるため、歯科衛生士の退職する理由となるでしょう。
理由④人間関係に問題がある
前の職場をやめた理由は人間関係が悪すぎたから。
趣味が「他人のミスを見つけること」という先輩がいて、スタッフが定着しなかった。・ミスを見つけたらネチネチ攻撃
・自分のミスは正当化or責任転嫁
・本人がいないときに悪口大会歯科衛生士なんてやめよう…と思うくらいしんどかったな…
— まな@訪問歯科の歯科衛生士 (@dh_manatan) March 1, 2024
歯科衛生士って他に比べたら給料良い方だよね、医院によっては忙しくない所もあるし審美系とか矯正は急患も少なくて
仕事内容慣れたら結構安定してるし良い職業な方だよなまあそれは「人間関係が上手くいけば」の話なんですけどね
それによってぶち壊される事かなり多い— tooth (@tooth_otaku) November 7, 2023
どんな仕事でもそうですが、人間関係の悪い職場の環境で働きたいという人はいません。それは歯科衛生士でも当然であり、特に個人経営の歯科医院だと人数も少ないため、限定的な人間関係になってしまいがちです。その中で、良好な人間関係を保つのは大変重要なことであり、仕事のモチベーションにも大きく影響してくるでしょう。
歯科医師とのコミュニケーションに問題があると感じている歯科衛生士の離職率は、そうでない場合と比べて約1.4倍高いと言われており、歯科衛生士の離職理由にもなっているようです。
理由⑤キャリアアップのため
妻がずっと続けてきた歯科衛生士を辞めて専門学校の講師を目指す。
年収は下がる、休みも減る、分からないことも増える。
でも業界自体を良くしたいからチャレンジすると。
シンプルにかっこいいと思ったし、心から応援する。キャリアアップは必ずしも年収を上げるためのものではないと再認識!
— 青戸勇貴@NOVEL代表 (@Aoto_NOVEL) January 10, 2021
生まれて初めて転職を本気で考えてます。歯科衛生士は続けたいけどキャリアアップしたい。やっぱりもっと給与のいいところへ行きたい
— yatsumi (@yatsumi18) April 11, 2019
上記のように、キャリアアップのために転職を考える歯科衛生士もいます。特に近年では、転職をしてキャリアアップをするのが当たり前となってきています。審美歯科や矯正歯科など、他の専門歯科の業務をやってみたいと思う歯科衛生士もいるでしょうし、上記のように講師という全く違った道に進む場合もあります。
歯科衛生士は歯科医院への就職が多数を占めている中で、病院や保健所・講師や一般企業など様々な就職先があり、中にはフリーランスや独立して経営者の道を辿る人もいます。特に良質な歯科衛生士ほど志が高く、勉強やコツコツした努力ができるスタッフが多いです。そんな歯科衛生士が選んだ道なら、致し方ないのかもしれませんね。
【歯科衛生士】人手不足解消のための12の対策
ここまで、歯科衛生士が離職・退職する5つの理由を見てきました。ライフステージの変化やキャリアアップのためという、致し方ない理由もありましたが、適切な対策を講じることで離職を減らせそうな項目もあるのが分かりました。
それでは、実際どのようにすれば、歯科衛生士の人手不足を解消できるのでしょうか?
「離職を防ぐ方法」や「復職・新たな人材を獲得する方法」など、あわせて12の対策を見ていくことにしましょう。
対策①職場働きやすい環境にする
近年では、職場の労働環境が特に重要視されるようになってきました。
ライフワークバランスという考え方が広く普及し、仕事とプライベートを両立させることは、重要な選択基準となっています。女性の多い歯科衛生士では、福利厚生のみならず、育休の取得やライフステージの変化による時短勤務・有給の取りやすさといった環境は、大変重要になってくるでしょう。
この職場環境を整え定着率を上げることによって、育休後の復職も促しやすくなり、人手不足解消の大きな対策になります。
対策②スタッフどうしのコミュニケーションの充実
先にも書きましたが、職場内の人間関係に問題があると、離職や退職の原因になってしまうことはしばしばあります。
人間関係を円滑に保つことは、職場環境をより良くする第一歩でもあり、積極的に対策していきたい項目です。歯科業務はチームプレイで行う事も多く、スタッフ同士が積極的にコミュニケーションを取れる環境づくりも大事になってきます。
先輩・後輩だけでなく院長との人間関係に問題を抱えて離職するケースも多いようです。スタッフとのコミュニケーションには丁寧に接することを心がけましょう。そして、コミュニケーションの促進には、以下の要素を意識してスタッフ同士の積極的なコミュニケーションを促し、会話の機会を設けるようにしてみてください。
・会話:日常的な会話・おしゃべり
・討議:問題解決などの結論を導き出す話し合い
・対話:相互理解を深め、相手のことを理解する話し合い
対策③努力や働きに見合う給料にする
給与や待遇というのは、人間関係に並ぶ離職理由になっており、どんなに人間関係が良く職場環境が良好だとしても、現在の待遇面に不満を感じていると離職の可能性は高くなってしまいます。
自分の仕事が正当に評価されているかは、誰しも気になることです。その対策として歯科医院や職場への貢献度・スキルレベルを公平に評価できる評価基準を設け、給料に反映させることはとても重要と言えるでしょう。
また、給料のベースアップだけではなく、勤続ボーナスや資格取得手当など、モチベーションの維持に繋がる手当を出すのも良い対策となります。自身の仕事が正しく評価され、さらにボーナス支給時に「ありがとう」という感謝の言葉でも評価されているとわかれば、より離職の可能性を低く抑えられるでしょう。
対策④業務の効率化を図る
業務の効率化を図ることは、オーバーワークの観点からも重要なことです。
歯科衛生士としての仕事に集中している際に、掃除や電話対応などで仕事を中断されると、それだけで不満が溜まってしまいます。以下の項目などを効率化することによって、歯科衛生士の負担を軽減し業務の効率化を図る事ができます。
・予約をIT化し、予約管理ツールによって不要な事務作業を減らしていく
・歯科助手を採用し、受付業務や電話対応・カルテ整理などの煩雑な事務作業を任せる
・清掃担当者を雇うことで、院内の清掃や洗い物を任せる
このように、業務を効率化し歯科衛生士の仕事に集中させることで、モチベーションのアップや治療自体のクオリティアップも期待できます。結果的に離職率低下にも大きく寄与できるため、検討する価値は大きいでしょう。
対策⑤医業利益を上げる
頑張った評価として認識されやすい給料や手当ですが、それを渡すためには医院自体が十分に利益を上げる必要があります。そこでおすすめなのが、無駄な固定費を削減する、自費率を上げる、点数の高い診療を増やすなどの方法です。
業務を見直して効率的に診療する事ができれば、診療数を増やす事ができ、医業利益アップにつながります。また、業務を効率化することで時間に余裕が生まれ、その分を予防歯科やホワイトニングなどの自費診療に充てる事ができれば、歯科衛生士が医業利益アップに直接貢献する事もできるでしょう。点数の高い診療を増やせるよう、自院の広告戦略を見直すことも重要です。
対策⑥キャリア支援体制を整える
新卒採用などの、経験の浅い歯科衛生士を定着させるのに、病院側で行う教育体制を整えることも大変重要になってきます。定期的な研修会や勉強会・先輩からのOJTなど、着実にステップアップできる体制を整えましょう。そして、モチベーションの維持のためには、昭和の時代のような「叱る教育ではなく」、「褒める」「評価する」ことを意識してそれを給与に反映させれば、モチベーションの維持にもつながります。
また、在職中の歯科衛生士は自身のステップアップのために転職する事も多いのが特徴です。外部研修を積極的に導入して、資格取得をサポートしたり、予防歯科や歯周病治療など、スキルアップができる環境を整えてあげる事ができれば、離職や転職を防ぐ事ができるかもしれません。
対策⑦魅力が伝わる求人票を作る
歯科衛生士は、人手不足を背景にどのエリアでもかなりの数の求人が出ているため、歯科衛生士は必ず自院と他の医院の求人票を比較して検討しています。歯科衛生士に自身の医院の魅力を伝えるとともに、求職者に刺さるポイントを意識した求人票を作成する事も重要でしょう。求人票で重視されるポイントは、以下のように3つあります。
・給与・待遇
・福利厚生
・人間関係
給与や待遇といったところは特に重要視されるため、掲載前に周辺の歯科医院の待遇と見比べて、他の医院に見劣りしない給与を提示する事が重要です。また、福利厚生も社会保険完備だけでなく、育休の取得や復職に関するサポートまで言及してあれば、より自院が選択される可能性は高まるでしょう。そして、院内の人間関係や職場の雰囲気の良さが伝わるように掲載写真にもこだわることをおすすめします。
対策⑧歯科業界以外への訴求も大事
歯科衛生士の離職率を下げるためには、歯科助手や受付などの人材を充実させることが大事です。歯科衛生士の国家資格はなくても、電話対応やコミュニケーションスキル、事務作業能力が優れている人材はたくさんいます。そんな人材を歯科助手や受付として採用すれば、歯科衛生士がそういった業務に時間を割かれなくなるため業務が効率化でき、結果として診療中の人手不足も解消することができます。
そのためにおすすめなのが、他の業界にも訴求することです。国家資格が必要な歯科衛生士は採用が難しくても、無資格でできる業務の人員を充実させることで、医院内の人手不足解消が可能になります。また、歯科助手や受付として採用したスタッフが歯科衛生士を目指すことも珍しくありません。将来的に歯科衛生士となるスタッフを掘り出すことにも繋がるため、ぜひ歯科業界以外にも目を向けてみましょう。
対策⑨歯科衛生士学校に依頼する
歯科衛生士学校に求人票を掲載し、新卒や在校生のアルバイトを募集するというのもひとつの手です。
新卒の採用は、経験がないため即戦力としては敬遠しがちですが、教育環境を整え一から教育することによって自院の求める人材に育てやすいというメリットもあります。
また、中途で採用した歯科衛生士が、自院との仕事の進め方や考え方に相違がある場合、それを直すよりも新卒を教育した方が手っ取り早い場合もあり、結果的に教育コストが安く押さえられる可能性もあります。
対策⑩歯科医師会の人材バンク事業を活用する
日本歯科医師会および各都道府県歯科医師会は、未就業歯科衛生士の活用を目的とした人材バンク事業を展開しています。この事業は、離職中の歯科衛生士の復職支援を核としており、求職者と歯科医院のマッチング機能に加え、技術ブランク解消のための研修会や最新医療機器を用いた実習プログラムを提供しています。
具体的には、長野県では年間1回の復職セミナーで最新技術研修と就職相談を実施し、愛知県では「つないでネット」と称した登録制バンクで柔軟な勤務条件の調整が可能です。兵庫県では健康福祉事務所が主体となり、地域活動を希望する歯科衛生士向けに専門的口腔ケア講座を開催するなど、自治体ごとに特色ある支援体制が構築されています。
これらの取り組みは日本歯科医師会の公式サイトで公開されており、都道府県別の事業内容や問い合わせ先を確認できるようになっています。こういった取り組みもぜひ活用してみましょう。
対策⑪歯科医院のホームページを整備する
求人票などで目に留まった歯科医院は、どのような医院なのか気になるものです。多くのユーザーは、さらに詳しく調べるために、歯科医院のホームページにアクセスしてチェックしています。
そのため、ホームページから歯科医院の雰囲気や職場環境、診療理念などを伝える事ができれば、応募に対するハードルが下がる可能性があります。しかし、そもそもホームページが無いなど詳しい情報が得られないと、応募を躊躇してしまう恐れもあります。
ホームページは、患者獲得にも有効な手段ですが、人手不足を解消するための募集時にも「情報発信源」として役立ちます。また、最近はSNSや地図サイトなどで雰囲気や評判をチェックしているという人も少なくありません。特に、SNSは求人サイトと違って何枚でも医院の紹介の写真や説明の文章を載せることができ、コメント欄でやり取りすることも可能なためより職場の雰囲気や人柄を伝えられるでしょう。こうした発信も、ぜひとも味方につけたいところです。
対策⑫採用代行サービスを活用する
人手不足の場合は歯科医院を回すのに精一杯で採用まで行えないという歯科医院も多いです。そんな方におすすめなのが、採用代行サービスです。採用代行サービスは、求人票を最適化したり応募者との調整をしたりなどの採用に関する業務の全部、または一部を代行するサービスのこと。採用代行サービスは、会社によっては採用に関わる全てのことを採用のプロに任せることができるため、歯科業務に専念したい歯科医院にピッタリなのです。
特に採用代行サービスの「デンタルサイヨウブ」では、採用戦力の見直しから求人票の作成、応募者の電話応対・調整など採用事務の代行に至るまで、採用に関するあらゆることをお任せいただけます。業界に精通したプロの視点で採用活動を行うため、効率的に採用が可能な上に、費用を一本化することでコストダウンに繋げられる可能性もあります。費用は月額10万円~。ぜひこの機会に「デンタルサイヨウブ」をご検討ください。
歯科衛生士の離職率に関するよくある質問
ここまで、歯科衛生士の離職理由や人手不足解消のための対策を見てきました。最後に、歯科衛生士の離職率に関するよくある質問を、具体的な数字も交えながら見ていくことにしましょう。
Q:歯科衛生士の常勤と非常勤で離職率に違いがある?
A:現在働いている歯科衛生士14万人のうち、約11万人が転職経験者であると言われています。その転職経験者を、常勤と非常勤に分けると以下のようになります。
・常勤職員:66.2%
・非常勤職員:91.3%
上記の数字を見ると、非常勤職員はほぼ転職経験者である事がわかります。もともと常勤職員として働いていた歯科衛生士が、ライフステージの変化などで離職や退職をし、復職して非常勤職員になっていると考える事ができるため、転職経験が多くなっているのだろうと考える事ができます。
この数字から、復職するスタッフを視野に入れた求人対策がどれだけ大事かということが分かりますね。
Q:他の医療職と比べて歯科衛生士の離職率は高い?
A:歯科衛生士は他の医療職や業種と比べてどのくらい離職率が高いのか見ていきましょう。歯科衛生士と医療職である看護師、社会人全体を比べると以下のようになります。
・歯科衛生士:76.4%
・看護師:50.5%
・社会人全体:68.4%
この数字を見ると、同じ医療職である看護師と比べて26%も高くなっているのが分かります。また、社会人全体と比べても8%も高くなっているため、総じて歯科衛生士は離職率が高いと言えそうです。
Q:離職率が高い地域や環境の特徴はある?
A:歯科衛生士の離職率は、地域や環境によって変わってくるようです。
東京や大阪などの都市部では、その他の地方都比較して1.2〜1.5倍離職率が高いようです。都市部では歯科医院の数も多いため、自身の条件にあった就職先を見つけやすいのが離職率の高い理由でしょう。また環境でも違いが出ており、3人以下の歯科衛生士しか雇用していない小規模な歯科医院では離職率が1.3倍高くなっているという報告もあります。
Q:若手歯科衛生士とベテランで離職率に違いがある?
A:若手やベテランでの離職率の違いもあるようです。新卒の歯科衛生士の離職率は以下のようになっているようです。
・1年以内の離職率:約20-25%
・3年以内の離職率:約40-50%
1年目と3年目では離職率が倍ほど高くなっており、新卒で就職して仕事に慣れてきた頃に、次のステップアップや更なるスキルアップを目指して転職するパターンが多いと考えられます。では、経験年数の長いベテランと呼ばれる歯科衛生士の離職率を見てみましょう。
・経験10年以上の歯科衛生士の年間離職率:約5-10%
・経験20年以上の歯科衛生士の年間離職率:約3-5%
上記のように、経験年数が長くなると離職率も大きく低下しています。やりたいことや学びたいスキルも学び終えて、生活のためやライフステージの変化により、働く目的が変わったことなども離職率低下の大きな要因だと考えられます。
歯科衛生士の離職理由と人手不足解消のために
この記事では、歯科衛生士の離職率の高さに注目し、その理由や対策方法について詳しく見てきました。
女性の数が多い歯科衛生士は、ライフステージが変化する年代に離職率が高くなる傾向があり、それが全体の離職率を高めている理由でもあるようです。しかし、ライフステージの変化は致し方ないものでもあるため、歯科医院側としては育休などのサポートを充実させ、復職をバックアップできる体制を整えることがとても重要になってきます。それ以外の離職の対策としては、給料や待遇を改善し職場環境を整え、良好な人間関係を構築していくことが重要になってきます。
人手不足解消のためには、院内の環境を変えたり求人方法を変えたりと、地道な改善が大事です。また、即戦力を求めるよりも、未経験やこれから目指すことを視野に入れているという人たちを、ちゃんと自院に合ったスタッフに育てあげるということもトレンドになってきています。ぜひここでお話したポイントを参考に、歯科衛生士不足にピリオドを打ってください。
歯科スタッフの効率的な採用は採用代行のデンタルサイヨウブがおすすめ
「歯科衛生士採用のために改善策を施したけど、良い人材が集まらない…」そのようなお悩みをお持ちの歯科医院の採用担当者様は、採用代行サービスのご利用はいかがでしょうか?
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<参考URL>
歯科衛生士不足が続く歯科業界、定着率を上げるためのポイントとは