歯科衛生士の就職先は歯科医院に留まらず多岐にわたります。一体どこに着目し、どんなところに魅力を感じて選んでいるのでしょうか?
この記事では、歯科衛生士が就職先を選ぶ際の基準や、魅力を感じる職場の特徴について詳しく解説します。駅の近く・自宅の近くといった条件や将来を見据えたキャリア形成の機会など、歯科衛生士の視点を理解すれば、より効果的な採用戦略を立てることができ、優秀な人材確保に繋げられるでしょう。
歯科衛生士の就職先にはどこがある?
歯科衛生士といえば、歯科医院に就職して歯科医の補助業務を担当しているイメージが多いですが、歯科衛生士の就職先は歯科医院だけとは限りません。以下のように、全体の1割程が歯科医院や診療所以外に就職しています。
歯科医院・診療所以外の就職先には、病院が最も多く5.1%が就職しており、その他にも市区町村や都道府県のような地方自治体、歯科衛生士学校や養成所などの教育機関、近年では介護保険施設のような高齢者施設も増えてきました。また医療機器メーカーや生活用品などの事業所に就職をする歯科衛生士も僅かながらいることがわかります。
歯科衛生士の就職先と特徴
歯科衛生士の就職先として様々な業種や形態があることがわかりましたが、それぞれの就職先に特徴があります。歯科衛生士の就職先の選び方として、歯科医院以外のどこに魅力感じているのでしょうか?病院の口腔外科や歯科に関しては、歯科医院に業務内容も近くイメージしやすいですが、その他の就職先にはどのような特徴があるのでしょう。
ここからは歯科衛生士の就職先の特徴や選び方などを、各業種ごとにメリット・デメリットを挙げながら見ていくことにしましょう。
歯科医院・デンタルクリニック
歯科衛生士の代表的な就職先として、90%以上が選ぶのは歯科医院・歯科クリニックです。
・慢性的な人手不足のため、日本全国どこでも転職しやすい。
・自宅の近くや駅の近くなどの諸条件が合致するところも多い。
・給与交渉などでも有利な場合が多い。
・土曜日診療が一般的で、連休が取りにくい。
・診療後の片付けや、翌日の準備、急患対応などで残業になることも多い。
実に様々な歯科医院があることから、自身の条件に合致しているところを見つけやすく、歯科医院の数も多いため歯科衛生士としてはじっくり就職先を決めることができるというのもメリットのひとつでしょう。
病院
病院もまた人気がある就職先であり、普通の歯科医院では見られないような難症例を経験することもできるため、スキルアップを望む歯科衛生士には魅力を感じるようです。難症例や他の疾患を持つ患者さんのケアであったりと、病気や薬剤に関する多くの知識が必要となってきます。
・一般的な歯科医院では治療が難しい難症例の患者が来院することも多く、難しい症例を経験することができる。
・歯の治療以外の他の病気や疾患を持った患者が来院するため、歯科以外の知識も必要となり医科の知識も身に付く。
・歯科医院に比べて、比較的給料が高い場合が多い。(平均で年収30万円ほど高くなる)
・歯科医院と同じで土曜日診療が一般的で、連休が取りにくい。
・総合病院などは、患者さんの数や急患も多いため長時間勤務になりやすい。
このように、他の疾患があったり難しい治療の経験を積むことができ、キャリアアップ志向の高い歯科衛生士には大変人気があります。
歯科衛生士学校や養成所
歯科衛生士学校や養成所を就職先として選ぶ歯科衛生士もいるようです。その場合は学校やセミナーで講師を務めることが基本的な業務となることが多く、歯科衛生士学校での生徒やセミナー受講者とのコミュニケーション能力を求められるでしょう。
・講師という立場での様々な情報や経験を得ることができる。
・基本的には土日祝日休みであり、規則的な生活リズムを確立することができる。
・高額ではないものの、比較的安定した給与を得ることができる。
・実務経験なしで講師になった場合、現場を知らないため講義における話題や経験が話せない。
・歯科衛生士として実務経験を積むことができないため、転職に不利になる可能性がある。
・授業の準備などで、比較的残業が多い傾向がある。
このように、歯科衛生士が学校の講師になった場合には、実務経験が積めないというのはかなりのハンデになるため、自身の経験を活かした転職活動の幅が極端に制限される恐れがあります。
介護保険施設
介護保険施設とは、介護保険を使用して利用することができる特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院などの総称で、近年の高齢者の介護需要に伴い、就職先に選ぶ歯科衛生士もいるようです。高齢者の口腔ケアなどが仕事の中心になってきます。
・基本的に1日の動きがルーチン業務であるため、残業も少ない場合が多い。
・近年の介護需要の高まりによって、転職先に困らない。
・利用者との距離が近いため、口腔指導などの成果を感じやすい。
・他の就職先と比べても給料が安い傾向にある。
・仕事内容が高齢者の口腔ケアや嚥下機能の指導などがほとんどのため、一般歯科的なスキルが身につきにくい。
介護施設では、嚥下機能の低下や口腔内環境の悪化による誤嚥性肺炎などの事故も起きやすく、一見すると高齢者の娯楽のように見える嚥下体操や口腔体操なども、重要な指導の1つになってきます。
訪問歯科医療
訪問歯科医療も、近年の介護需要の高まりによって増えている就職先のひとつです。自身で歯科医院に出向くことができない個人宅や老人ホームなどに赴いて歯科診療をします。
・介護施設同様に需要が年々高まってきており、転職に困らない。
・細かいものを見る作業があまりないため、視力低下をしても続けられる。
・スケジュールに沿って訪問先に出向いて診療を行い、帰院して事務処理などを行うため残業になりやすい。
・場合によっては、車の運転を一日することもあるため運転に不慣れな人には向かない。
先の介護保険施設もそうですが、介護職員やケアマネージャーなどとの連携や報告なども求められたりするため、そのコミュニケーション能力も必要となってくるでしょう。
医療機器関連企業やメーカー
医療機器関連企業やメーカー、ドラッグストアなどに就職する歯科衛生士もいるようです。歯科医院や小売店への営業や歯科医療機器の開発、セミナー講師など企業社員としてあらゆる業務があります。
・一般企業であるため、社会保険などの福利厚生が充実している場合が多い。
・開発や営業などでも一般企業であるため、土日祝日休みや有給休暇などが使いやすい。
・患者相手の仕事ではない場合が多いため、一般歯科的スキルはほぼ身につかない。
上記のように、歯科衛生士というよりは企業のサラリーマンに近い就職先であるため、歯科衛生士としてのスキルアップというのはほぼ望めないでしょう。
保健所・保健センター(地方公務員)
保健所や保険センターで公務員として、口腔ケアや歯科予防に関する業務を行います。ごくわずかの狭き門ではありますが、比較的人気が高い就職先でもあります。
・公務員であるため、給料的にはそこまで高くないものの安定しており、残業などもあまりない。
・土日祝日休みや有給休暇などがしっかりしている。
・パートのような時間で区切ったフレキシブルな働き方はできない。
歯科衛生士という資格を使って公務員になれるため、人気はありますが募集人員は少なく狭き門です。母子や幼児向けの口腔指導や予防歯科指導などが多いようです。
歯科衛生士の魅力的な就職先の選び方
ここまで、歯科衛生士がどのような就職先を選択しているのかを見てきました。どこの就職先にも魅力はあるとは思いますが、それでも歯科衛生士の9割が歯科医院やクリニックに就職している事実を見れば、やはり歯科医院への就職というのは人気があることが伺えます。ここからは、そんな歯科衛生士が魅力的だと思う就職先の選び方を4つのポイントに絞って見ていきましょう。
①仕事内容やケアの対象を決める
歯科衛生士が就職先の選び方のポイント1つ目は、仕事内容やどんな対象を想定したケアを行うのかということです。予防歯科をメインとしているのか、審美などの美容歯科なのか、矯正治療なのかなど就職といっても様々です。
また、子供が好きな歯科衛生士であれば小児歯科に魅力を感じるでしょうし、自身の祖父母の口腔ケアに関心を抱いているなら、高齢施設での口腔ケアに特化した介護保険施設を選ぶこともあるでしょう。歯科衛生士によっては、ただ単に給料良いや通勤で家から近いといった勤務条件以上に、魅力を感じるものと言えるでしょう。
②勤務条件をチェック
近年ではワークライフバランスという言葉が重要視されるようになり、仕事と自身の生活のどこで折り合いをつけるのかというのは、就職先の選び方として重要なポイントとなってきました。
勤務時間・勤務地・給料・休日などが具体的な内容ですが、たとえ通勤に時間がかかっても給料が良い、給料はさほど高くなくてもいいが休みが多い方が良いなど、平成の頃までの歯科医院の方針に従う姿勢というのは、あまりなくなってきました。コツコツ努力して給料を上げていくというよりは、条件の良い医院を見つけて転職をし、自身の手でより良い環境を見つけるというのが令和時代の世代の特徴であるとも言えます。
そのため、比較的フレキシブルな働き方ができる医院や、選択の幅が大きい就職先は魅力を感じるようです。
③将来を考えた選び方
先に書いたように、令和世代は自身でより良い環境を見つけてキャリアアップ転職をする傾向にあるため、将来を考えた選び方をする歯科衛生士も多くなってきました。どのようなスキルを身につけ、どのような知識を習得していけばより良い環境を手に入れることができるのか?ということに大変興味があることも、この令和世代の特徴と言えるでしょう。
そのため、資格取得に対して積極的な歯科医院や就職先に対して魅力を感じたり、特定の分野に特化した就職先や難治療を経験できる病院なども魅力的に感じるようです。
④院長や人間関係も大事
院長の性格や診療方針、人間関係も歯科衛生士の就職先の選び方としては重要なポイントになってきます。日本歯科衛生士会の調査では、歯科衛生士の転職理由として「人間関係」と答えた歯科衛生士が最も多いという結果が出ています。
歯科医院では、比較的少人数での人間関係になってしまうことが多く、人間関係が自分に合わなければ、早期退職などにもつながってしまう事になりかねません。そのような点から、比較的大きな総合病院や介護保険施設・保健所などでは異動などもあり人員も多くて流動的であるため、魅力を感じている歯科衛生士も多いようです。
歯科衛生士の就職先でよくあるQ&A
歯科衛生士の就職先の選び方やどこに魅力を感じるのかを見てきましたが、実際の就職活動ではどのようなことに疑問を感じているのでしょうか。歯科衛生士の就職において疑問を感じていることがわかれば、採用の際のヒントが見つかるかもしれません。
ここからは、歯科衛生士の就職先でよくある疑問をQ&A形式で見ていきましょう。
Q:歯科医院で働く魅力はどこにありますか?
A:歯科衛生士が歯科医院で働く魅力は多々ありますが、就職先として歯科医院のどこの魅力を感じるのかといえば、やはり選択肢の多さでしょう。仕事に対するやりがい・ワークライフバランス・給料・通勤・福利厚生など、選び方次第で多くの選択肢が存在するのが歯科医院です。
それは、病院であったり保健所や介護保険施設などに比べて圧倒的に数が多い歯科医院ならではと言えるもので、各医院によって強みや得意分野、福利厚生なども大きく変わってきます。歯科衛生士が就職先としてどこに魅力を感じているのか?というリアルな声を、以下のリンクに掲載しておきましたので参考にしてください。
参考URL:歯科衛生士の裏あるある20選!彼氏の条件が口元が綺麗なこと?
Q:歯科衛生士の就職活動ではどのような方法が一般的ですか?
A:歯科衛生士であっても、基本的に他の就職と変わらず以下のような方法で就職活動をするのが一般的です。
・求人サイトや求人誌
・人材紹介会社
・ハローワーク
・歯科医院のHPや求人チラシ
新卒であれば、学校の紹介する求人を活用することが最も多いでしょう。しかし、自宅から近い方が良いという理由で、ハローワークや歯科医院の求人チラシなどで就職活動をする歯科衛生士も多いです。
また近年では、人材紹介会社に登録しエージェントを介して、より有利な条件でスカウト求人を待っている求職者も増えてきました。かつての求人誌やハローワークといった就職活動だけではなく、積極的に自身の条件を提示して、より良い採用を勝ち取ろうとする就職活動も一般的になってきています。
Q:歯科衛生士の通勤時間はどれくらいが理想ですか?
A:通勤時間に関しては、個人の捉え方が様々あるようで、家から近い方がいいのかというと実はそうでもないようです。自宅から30分ぐらいが目安とされており、通勤時間が20分を超えると幸福度が急激に下がってくるという研究結果も出ており、近くでも遠くでもないと言った距離が理想的なようです。
また、通勤方法も電車やバス・自転車や車など様々ですが、毎日ストレス無く通うことができるかというのも検討した方がいいでしょう。とはいえ、病院や保健所・一般企業を就職先に選ぶと、自宅から都合の良い場所に勤務先がない場合も少なくありません。ワークライフバランスの確立を考えると、歯科医院はかなり有力な就職先と言えそうです。
駅近と自宅近くの医院のメリット・デメリットは?
自宅や駅から近くの医院だと至便で良いと思いがちですが、実はそこにもメリットデメリットが存在します。以下にそれぞれのメリットデメリットを挙げてみます。
・公共交通機関を使っての通勤が可能。
・駅からの移動時間が短いため通勤がラク。
・周辺に商店などが多いと昼食などの調達がラク。
・人が多く予約なしの患者が来院したりと忙しくなりがち。
・自転車や公共交通機関以外での通勤が難しいことが多い。(車通勤など駐車場が無い)
・通勤がラクでワークライフバランスを確立しやすい。
・残業をしてもあまり遅くなることがない。
・近所で医院のスタッフと遭遇する、または患者さんと遭遇する。
・急な欠勤が出た場合、医院から近いため急遽駆り出される可能性もある。
歯科衛生士には女性が多いため、プライバシーには特に配慮が必要です。あまりに家から近くの勤務地を選ぶのは避けた方が良いかもしれませんね。
歯科衛生士は他府県などどこでも働けますか?
歯科衛生士はどこの都道府県でも使える資格であり、基本的に日本全国どこでも就職先に困ることはありません。UターンやIターン就職で地方での就職を目指している歯科衛生士も多いとは思いますが、そこには注意点も存在します。
- 給与水準が違う:地域によって給与水準は変わってきます。それは歯科衛生士にも当てはまることで、東京・大阪・名古屋などの大都市圏と比べると場所によっては10〜20%も給与水準が違う地方もあります。
- 休日が違う:東京などの大都市圏と比較すると地方の方が休みが少ない場合が多く、週休2日が一般的な都心に対して地方では週休1.5日というのが多いです。しかし地方では、残業はあまりなく勤務時間も比較的短めのところが多いようです。
- 専門性の高い医院が少ない:地方では、保険診療での歯科治療が中心で、専門性の高い歯科医院が少ないことも特徴の一つです。高齢者が多数を占める山間部の街に歯科美容専門の医院はあまり必要とされませんし、子供がいないのに小児歯科も必要とされません。
このように、日本全国で就職先には困らない歯科衛生士ですが、地方や僻地などになってくると選択の幅は大きく減ってくるため、どこにするかという就職先の選び方も重要になるでしょう。
最近では、他の都道府県からでも歯科衛生士を採用するために「引っ越し補助」として費用を負担する歯科医院もあるようです。遠くの人材でも呼び込みたいという場合は、ぜひ参考にしていてください。
歯科衛生士が選ぶ就職先とは?
歯科衛生士の就職先は歯科医院や歯科クリニックが9割程度と最も多く、病院や介護保険施設・地方自治体など歯科医院以外の就職先にも1割程度の歯科衛生士が就職しています。
歯科衛生士が、どこに魅力を感じてどのような選び方をするのかはそれぞれに基準があることです。一般的な歯科治療を求めている方もいれば、専門的なことや難症例の経験などに魅力を感じ、将来を見据えたキャリアアップのひとつとしてチャレンジしたいと考えている方もいます。
そういった仕事内容以外にも、歯科衛生士の間では特に働きやすさも重視されています。「家や駅から近くである」「休みが取りやすい」など、歯科衛生士が望む条件と合致しやすい歯科医院は、就職先として魅力的なことに変わりはありません。歯科衛生士に魅力を感じてもらい選ばれる歯科医院にするために、就職の動向や就活を研究してより良い採用に繋げていきましょう!
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