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歯科医師・歯科スタッフの人手不足の理由とは?乗り切るための最新戦略

2025.09.13

歯科医師や歯科スタッフの人手不足は、近年ますます深刻化しています。この問題の背景には、歯科医師の高齢化や国家試験の合格率低下、都市圏への人材集中など複雑な要因が絡んでいます。加えて、超高齢社会の進展により歯科への需要が増す一方で、訪問診療を担う人材の不足も懸念されています。

こうした状況を踏まえ、歯科医院経営者や採用担当者は、採用戦略の見直しや働き方改革、DX導入など多角的な対策を検討しなければなりません。

この記事では、最新のデータと事例を交えながら、歯科医院の人手不足の本当の原因について解説し、具体的な解決策や人手不足を解消した事例についてご紹介します。

深刻化する歯科医師不足の背景

歯科医師や歯科衛生士、歯科助手や歯科技工士など、歯科医院を経営するには多くのスタッフが必要です。しかし、現代の歯科医療業界において、約半数の歯科医院では人手不足を感じているとされています。この人手不足の状態は、歯科業界の大きな課題の一つとされています。

ここでは、歯科スタッフが不足している現状について、詳しく解説していきます。

歯科医師の高齢化と若手不足の現状

2024年の厚生労働省の調査によると、日本全国の歯科医師数は105,267人となっています。このうち50歳以上の歯科医師が約6万人を占め、全体の約57%となっています。年齢別の構成比を見ると、特に60代の歯科医師が最も多く、約2万3千人(全体の約23%)に上ります。続いて50代が約2万2千人(約21%)で、多くの歯科医師がベテラン層に集中しています。

一方で、若手の歯科医師は少なく、20代は約6千人(約6%)、30代は約1万7千人(約16%)にとどまります。これにより、多くの歯科医師が引退する2025年以降は、現状の若手人数だけでは不足を補いきれず、深刻な人手不足が予想されています

なお、診療所勤務の歯科医師の平均年齢は54.8歳と高く、病院勤務の医師よりも年齢層が高い傾向があります。男女別では、男性は高齢層が多く、女性は若い世代の割合が比較的高いのが特徴です。このように日本の歯科医師は高齢化が進んでおり、若手の確保や育成が急務となっています。

歯科医師の国家試験合格率の低下

歯科医師不足は、歯科医師国家試験の合格率低下も関わっていると考えられます。

実は、過去20年にわたり、歯科医師国家試験の合格率は大きく低下しており、2001年頃には約90%の合格率でしたが、2023年時点の合格率は63%前後まで下がっています(厚生労働省「合格発表について」)。この背景には国家試験自体が難しくなってしまったことと、厚生労働省が実施する合格者数調整があります。2014年以降、合格者数は約2,000人に制限されており、合格基準の引き上げもあいまって、試験の選抜性が強まっているのです。

この合格率低下は、新規歯科医師の供給が制限されることを意味しています。政府は過剰な歯科医師数の是正と歯科医療の質の向上を目的としており、国家試験での合格者数を抑えることで需給バランスを調整しているのです。しかし、国家試験合格率の低下は若手歯科医師の不足を加速させ、地域間の偏在や高齢化と相まって歯科医療現場の人手不足を深刻化させる要因となっています。

地域間の人材偏在と都市集中の実態

歯科医師の人材偏在は日本全国で顕著で、都市圏への集中が進んでいます。令和4年末の厚生労働省のデータによると、人口10万人あたりの歯科医師数が最も多いのは東京都(特に23区で133.7人)で、徳島県や福岡県も100人を超えています。一方で、青森、富山、福井、滋賀、島根、沖縄といった地方の多くの県では、全国平均の81.6人を下回り、60人を割る地域も存在しています。

また、若手歯科医師は都市部に集中する傾向が強く、地方では生活環境や待遇面での差異が人材確保を難しくしている現状があります。こうした偏在は、県単位だけでなく、より細かな区域での医療圏単位でもあります。人口減少が進む地域ほど歯科医師が不足する傾向が明らかとなっているため、地域医療格差を是正するために、地方での働きやすい環境づくりや移住促進策、オンライン診療の活用など、多面的な人材分散対策が急務となっています。

歯科衛生士、歯科技工士も含めた人手不足も課題

歯科医師だけでなく歯科衛生士や歯科技工士も全国的に不足している状態です。歯科医院全体の人材不足が経営を圧迫しているという歯科医院も珍しくありません。ここで、それぞれの職業について、具体的な状況を見ていきましょう。

歯科衛生士

「歯科スタッフの不足といえば、歯科衛生士」といわれる程、現在の歯科衛生士は不足している状態です。2023年の歯科衛生士の新卒有効求人倍率は約23倍に達しています。これは、歯科衛生士1人に対して約23人分の求人が出ていることを意味し、供給が需要に大きく追いついていない状況です。また、実際に働いている歯科衛生士は約14万9千人であり、全国の7割以上の都道府県で人手不足を感じているとされています。

さらに、離職率も高く、直近3年間で30~35%の歯科衛生士が職場を離れており、特に若手の離職が多いことが課題です。そのため、人材不足解消のために、歯科衛生士の働く環境や待遇改革が求められています。

歯科技工士

厚生労働省のデータによると、2022年末時点での就業歯科技工士数は32,942人で、2016年の34,640人から約1,700人減少しています。この減少傾向は近年ずっと続いており、特に若い歯科技工士の数が少なく、30歳未満は全体の約10.5%にとどまっています。また、65歳以上の高齢者が全体の約16.9%と増加傾向にあります。

こうした状況から、歯科技工士も歯科医師と同様に若い担い手の減少と高齢化が進むことで、将来的な人手不足が懸念されています。就業場所は主に「歯科技工所」が約73%を占めており、病院・診療所で働く歯科技工士は減少傾向にあります。

人手不足で起こる歯科医院経営への影響

上記のように、歯科医院では、すべての職種で人手不足が深刻化しているという現状があります。それでは、この人手不足は歯科医院にどのような影響を及ぼすのでしょうか。いち歯科医院の経営についてはもちろん、歯科業界全体としてどのような影響があるのかを詳しく解説していきます。

歯科医院では診療体制の維持が困難になり患者満足度が低下する

歯科医院で人手不足が続くと、まず診療体制の維持が大きく難しくなります。スタッフが減ることで予約の枠も限られてしまい、患者は診療の順番を待つ時間が長くなりがちになるでしょう。その結果、治療やメンテナンス希望者が希望通りの日程で診療を受けられず、医院全体のサービス品質が低下してしまいます。

また、限られた人数で業務を回さなければならないため、スタッフ一人ひとりの負担が増加し、急患対応や細やかなサポートが難しくなります。こうした状況が続くと、患者からの不満が口コミや医院の評価に反映され、リピート率の低下や新規患者の減少につながります。

さらに業務が逼迫すると医療ミスや手違いが起こるリスクも高まり、医院の信用失墜やトラブル、患者の健康被害にもつながりかねません。「予約が取れない」「待ち時間が長い」「対応が雑になった」といった不満が積み重なることで、医院経営へのダメージは非常に大きくなってしまうでしょう。

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社の調査によれば、49.4%もの医院が歯科衛生士や歯科助手の人手不足に悩んでおり、16.1%もの医院が歯科医師の人手不足に課題を感じているとしています。歯科医院の人手不足による悪影響が本格化する前に、解消のための対策を施すことが急務となっているのです。

歯科業界全体では後継者不在による閉院と地域医療格差が拡大する恐れ

歯科業界全体では、すでに高齢化や後継者不足の進行によって医院の閉院が増え、区域ごとの医療格差が深刻化しはじめています。

特に地方や過疎地では若手・中堅の歯科医師が少なく、引退するベテランの後を継ぐ人材が見つからないまま閉院となるケースが相次いでいます。帝国データバンク「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)」によると、2024年の歯科医院の倒産は27件、休廃業・解散は118件にのぼり、どちらも過去最多を記録しています。M&Aキャピタルパートナーズ株式会社の調査によれば、現在、半数以上の歯科医院では後継者となる歯科医師がいないという悩みを抱えているとされており、今後も閉院が相次いでしまう可能性が高いです。

都心部では一見歯科医院が過剰な状況に見えても、地方では「無歯科医地区」と呼ばれる、歯科医師がまったく存在しないエリアが年々増加しているのも問題です。50歳以上の現役歯科医師が引退してしまうと、医療アクセス自体が失われる地域が拡大してしまいます。この地域格差は、患者にとって健康維持と治療機会の喪失につながってしまい、未治療や重症化のリスクを高めてしまうことになります。

このように、歯科医院の人手不足は、歯科業界全体として医療サービスの安定供給が危うくなるだけでなく、住民の健康維持にも直結する重大な課題となっています。地域格差をなくすためにも、早急な人材育成・後継者確保・地域支援策が不可欠となっているのです。

歯科医院の人手不足対策の具体例

歯科医院の人手不足を解決するためには、多角的なアプローチが必要です。ここでは、具体的に歯科医院が取り組める具体的な対策についてご紹介します。経営者が今すぐ取り組むべきポイントに絞っていますので、ぜひ参考にしてみてください。

働き方改革と環境整備による定着率向上

働き方改革や職場環境の整備で、スタッフの定着率を上げることは歯科医院の人手不足対策の基本です。まず、勤務時間や休暇制度の柔軟化により、スタッフがプライベートと仕事を両立しやすくします。例えば、子育てや介護をするスタッフ向けに時短勤務や週休3日制の導入が増えています。こうした多様な勤務形態は、離職防止に直結し、全体の職場の雰囲気も明るくなります。

また、院内コミュニケーションを活性化し、スタッフ同士が支え合う環境作りも重要です。ミーティングの定期開催や意見交換の場を設けることで、安心して働ける雰囲気ができ、悩みの早期発見・解決につながります。

労働条件の改善としては、給与や賞与の見直しに加え、福利厚生の充実もスタッフの満足度を高め、長く働いてもらいやすくします。さらに、教育・研修制度を整えてスキルアップを支援すると、スタッフのモチベーションも向上し、医院全体のサービスレベルアップにもつながります。

歯科スタッフの人手不足解消のための対策については、下記でも詳しく取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。
歯科衛生士がすぐ辞めるのは「うちだけ」?本当の理由と定着率を上げる方法
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新規スタッフの募集は採用戦略を見直す

採用戦略を見直して効果的な人材確保を目指すことも、歯科医院の人手不足対策で非常に重要です。

まず、求人の方法を従来の紙媒体中心からデジタル媒体へと切り替え、幅広い層に情報を届けやすくしましょう。SNSや求人サイトなどを活用して、医院の魅力や働きやすさを積極的に発信することで、応募者数の増加が期待できます。特に、Z世代と呼ばれる若者世代は、動画やSNSから情報収集することも増えてきています。ぜひ活用していきましょう。

さらに、優秀なスタッフへのスカウトメールの送信も重要です。こういったダイレクトリクルーティングは、「攻めの採用」として、歯科業界だけでなく多くの業界で注目を浴びている手法です。

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人材紹介・コンサルタント活用で採用効率アップ

さらに、歯科業界に特化した人材紹介会社の利用も効果的です。これらの紹介会社は、歯科医師や歯科衛生士など特有のニーズを理解しており、医院の条件に合致する候補者を効率よくマッチングしてくれます。その分コストが高くなってしまうこともありますが、定着しやすい優秀な人材を紹介してくれるため、採用効率をアップさせることができます。

加えて、採用コンサルタントの活用も推奨されます。コンサルタントは採用戦略の立案だけでなく、求人条件や待遇面のブラッシュアップ、面接の進め方や評価基準の整備など、採用成功に向けて多角的に支援してくれます。

採用コンサルトの中には、採用自体を代行する会社もあります。例えば、あとでお話するように「デンタルサイヨウブ」では、求人媒体の選択から求人票の作成、求職者とのやり取りや面接日程の調整、採用後のフォローなどを一括して行うことができ、採用効率を上げるとともに歯科医院の採用の負担を大きく軽減させられます。「歯科業務に集中したい」「長く働き続けられる優れたスタッフを採用したい」という方はぜひこの機会にご検討ください。

アウトソーシングや単発バイト活用

会計業務や給与計算、事務作業などの歯科経営に携わる分野や研修、清掃などを、外部にアウトソーシングする歯科医院も近年増加しています。こういった歯科の専門性が低い業務を任せることでスタッフの負担軽減と業務効率化を叶えることができます。アウトソーシングは設備投資や教育コストが不要で、退職リスクも低減できるというメリットがあります。高品質なサービスを受けつつ、院長やスタッフが診療に専念できる環境を整えることができるでしょう。

また、単発バイトの導入は、繁忙期などの臨時的な人手不足をカバーする柔軟な手段です。通常雇うよりも高額になってしまう可能性もありますが、時期に応じた必要人数を補えば、過剰な固定費を抑えつつ労働力の調整をすることができ、医院経営の安定化につなげることができます。

これらの施策は、人員確保の課題に対応しつつ、診療の質向上とスタッフの働きやすさの両立が期待できます。スタッフの働きやすさが向上すれば定着率もあがるため、人手不足を解消する特効薬になる可能性があります。

DX導入による業務効率化

歯科医院のスタッフ不足でぜひとも導入したいのが、DX化です。IT技術などを利用して業務効率化を図ることで、すでに人手不足に陥ってしまっている歯科医院も少ない人数で無理なく回せるようになる可能性があります。

歯科医院のDX化では、主に予約管理システムや電子カルテ、自動精算システム、患者管理ツールなどが挙げられます。特に、クラウド型予約管理システムを導入すれば、患者の予約調整を自動化でき、電話対応の負担が大幅に軽減されます。さらに、電子カルテや患者情報の共有もスムーズになり、診療フロー全体の効率化が実現できるでしょう。これによりスタッフの作業負担が減り、患者へのサービス品質も向上します。

また、歯科医院によっては、ホームページやLINEなどで患者向けチャットボットやオンライン相談ツールを完備しているところもあります。これにより、問い合わせ対応や初期問診、案内などを自動化することでスタッフの負担軽減しつつ、患者さんのサービス向上につなげることができます。

今後、歯科業界では、どの業種も人手不足はさらに深刻化する可能性が高いです。IT導入補助金なども利用できる今の段階でぜひとも導入しておきたいところです。

歯科医院の都市・地方別の人手不足対策

ここまで、歯科医院の人手不足の現状と、人手不足が深刻化するとどうなるかや具体的な対策方法について解説しました。しかし、都市部と地方ではすでに格差が生まれており、実際の対策は地域にカスタマイズした方法が求められるでしょう。

そこで、都市部と地方に分け、その特徴と具体的な対策方法を表にしました。

項目都市部の特徴・対策地方の特徴・対策
人手の状況多いが競合激化絶対数不足・後継者難
採用の容易さ比較的容易困難
競争環境多数の歯科医院で競争が激しい少ないが人材不足深刻
待遇・福利厚生充実した福利厚生、子育て支援、柔軟勤務導入住宅・交通補助など生活支援が重要
業務効率化予約システムや電子カルテ等のDX推進IT活用で効率的な診療体制構築
特有の対策スタッフの定着支援・離職率低減訪問診療推進、地域医療支援制度の活用

上記のように、歯科医院の多い都市部では「優秀な人材の採用と長期定着対策」が今後さらに重要視されるはずです。働きやすさを見直しつつ、他院にとられないように自院で働くやりがいを見つけてもらえるような施策が求められるでしょう。

一方で、地方では「人材不足の根本解消と地域医療確保」が重要なテーマとなっています。地方では、人材を募集したところで歯科衛生士や歯科医師の資格を持っている人が通勤圏内にいない可能性があります。地域医療支援制度を活用して優秀な人材を呼び込みつつ、DX化を推進していくことがカギとなるでしょう。また、訪問医療の重要性も、今後ますます高まっていくことが予想されます。

人手不足時代にどう向き合うか

歯科医師やスタッフの人手不足は、高齢化や国家試験の難化、地域間の偏在、後継者不足という複合的な要因によって深刻化しています。これにより、歯科医院の診療体制の維持や患者満足度の低下、地域医療格差の拡大といった経営リスクが増大しています。

こうした状況に対処するには、働き方改革や環境整備による定着率向上、人材紹介や専門コンサルタントの活用、アウトソーシングや単発バイトの活用、さらにはDX導入による業務効率化といった多面的な対策が不可欠です。また、都市部と地方では人手不足の状況や課題が異なるため、地域特性を踏まえた柔軟な対応が必要です。ここでご紹介した内容を参考に、ぜひご自分の医院にあった対策を施してみてください。

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