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【歯科医院向け】歯科衛生士の退職金はどれくらい?歯科医院の現状と制度

2025.07.26

歯科医院の経営において、歯科衛生士の採用・定着は大きな課題のひとつです。特に退職金制度は、求職者にとって重要な判断材料となり、スタッフの定着率向上にも直結します。しかし、歯科医院の多くは退職金制度の設計に悩んでいるのが現状です。

本記事では、歯科衛生士の退職金相場から制度設計の具体的な方法まで、歯科医院の経営者や採用担当者が知るべき情報を網羅的に解説します。他院の事例や支給条件を参考に、自院に適した退職金制度を構築し、採用力の向上と人材定着を実現できるでしょう。

目次

歯科衛生士の退職金と歯科医院の現状

歯科衛生士として長く働くうえで、「退職金がもらえるかどうか」は気になるポイントのひとつです。実際に支給の有無や金額の差は、勤務先によって大きく異なり、他の業界と比べても制度の整備状況にはばらつきがあります。

特に歯科衛生士の退職金制度は、医院の規模や経営方針によって大きく異なります。そのため、まずは退職金の基本的な仕組みから、歯科業界における現状までをしっかり理解することが重要です。これらの情報を把握することで、自身のキャリア選択の参考になるのはもちろん、自院での制度設計にも役立てることができるでしょう。

そもそも退職金とはどんな制度?法律上の決まりや支給条件は?

退職金とは、従業員が退職する際に支給される金銭で、長年の勤務への感謝や生活支援の意味を込めて支払われるものです。一般的には賃金の一部として扱われますが、日本の法律では退職金の支給は義務化されていません。つまり、退職金を設けるかどうかは各事業所の自由であり、歯科医院も例外ではありません。

退職金制度を導入する場合は、就業規則や退職金規程にその内容を明記する必要があります。明文化されていない限り、たとえ長く勤務していても、退職金を支払う法的義務は発生しません。

制度を導入する場合の一般的な支給条件としては、以下のような要素が挙げられます。

  • 勤続年数(多くは3年以上が条件)
  • 退職理由(自己都合か会社都合か)
  • 勤務態度や成績評価
  • 支給額の算定基準(基本給×勤続年数×係数など)

これらを明確に定めておくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して働ける職場環境づくりにつながります。また、一度制度を設けた場合には、その内容に基づいて適切に運用する義務が生じます。

日本歯科衛生士会が実施した「歯科衛生士の勤務実態調査(令和2年)」によると、退職金制度が「ある」と回答した歯科衛生士は全体で46.5%でした。一方で「ない」は39.2%、「わからない」は12.8%となっており、制度の有無が曖昧な職場も一定数存在しています。

また、就業形態別に見ると以下のような差があります。

  • 常勤:退職金制度あり 74.7%
  • 非常勤:退職金制度あり 8.3%

つまり、常勤歯科衛生士の約4人に3人は退職金制度のある職場で働いている一方、非常勤の場合は制度の導入率が非常に低いのが実情です。

退職金制度は、歯科衛生士の定着率向上や長期雇用の促進に寄与する重要な仕組みです。特に人材確保が難しくなっている今、制度の存在を明示し、求職者が安心して応募できるようにすることが求められています。

他の医療業界や一般企業との違いもチェック

歯科衛生士が属する「医療・福祉業」の退職金平均額は、高校卒で約332万円、大学卒で約342万円です(厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」)。
この金額は他の業種と比べて低く、例えば建設業や金融業では500〜800万円台が平均となっています。

医療・福祉業界の退職金が少ない理由の一つは、歯科医院の多くが中小規模や個人経営であることです。大企業のように退職金を十分に積み立てる余裕がなく、制度を導入していないケースも少なくありません。

また、一般企業では勤続年数に応じて退職金が増える仕組みが多いのに対し、歯科医院ではシンプルな計算方法や支給条件が多く見られます。その代わりに、賞与や手当、福利厚生を充実させている医院もあります。

とはいえ、転職を考える歯科衛生士にとって、退職金制度の有無は重要な判断材料です。特に経験豊富な人材を採用したい場合は、制度を整備・明示することが医院の採用力アップにつながるでしょう。

歯科衛生士の退職金はどれくらい?相場をチェック

歯科衛生士として働く中で、「退職金がいくら支給されるのか」「そもそもどれくらいが一般的なのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。また、経営者や院長の立場であれば、自院の退職金制度を整備する際に、他院の支給状況や金額の目安を把握しておくことは、制度設計における重要な判断材料となります。

ここからは、歯科衛生士の退職金について、算出方法や相場をご紹介します。まずは、基本的な計算方法をおさらいしたうえで、実際にどれくらいの金額が支払われているのかという相場感を見ていきましょう。

歯科衛生士の退職金の計算方法

歯科衛生士の退職金は、定額制やポイント制など多様な計算方法で計算されます。ここでは特に多くの企業で取り入れられている『基本給×勤続年数×支給率』の形式での算出方法をお伝えします。基本給は、諸手当を除いた基本的な給与額を指し、通常は退職時の基本給または退職前一定期間の平均基本給が使用されます。

支給率は、勤続年数や退職理由によって設定され、自己都合退職の場合は会社都合退職より低く設定されることが一般的です。例えば、勤続5年の場合は基本給の1.5倍、勤続10年の場合は基本給の3.0倍といった具合に設定されます。

また、定額制を採用している歯科医院もあり、勤続年数に応じて一定の金額を支給する方法もあります。この場合、勤続3年で10万円、勤続5年で20万円、勤続10年で50万円といった形で設定されることが多いです。どの計算方法を選ぶかは、医院の規模や経営方針によって決定されます。

歯科衛生士の退職金の相場

歯科衛生士の基本給は、月々の給与は各種手当込みで23万円から27万円程度、賞与・ボーナスは42万円〜65万円程度であるとされています。この基本給をベースに退職金を計算すると、勤続年数別の相場が見えてきます。

(例)基本給20万円 を想定した場合

  • 勤続3年の場合
     ▶︎ 20万円 × 3年 × 支給率0.5倍
     = 約30万円
  • 勤続5年の場合
     ▶︎ 20万円 × 5年 × 支給率0.8倍
     = 約80万円
  • 勤続10年の場合
     ▶︎ 20万円 × 10年 × 支給率1.2倍
     = 約240万円

ただし、これらはあくまで参考値であり、実際の支給額は各医院の制度設計によって大きく異なります。業界の特徴として、クリニックの規模感によって、退職金制度の有無も含めて、待遇面等の条件が大きく異なる点であるため、自院の規模や経営状況を考慮して適切な水準を設定することが重要です。

歯科衛生士の退職金制度を導入するメリットとデメリット

退職金制度の導入は、歯科医院にとって人材定着や職場環境の向上にも関わる、大きな経営判断のひとつといえます。制度を導入するかどうかは、単に「あるべきかどうか」ではなく、医院の将来を見据えた中長期的な視点から考えることが求められます。

導入には一定のコストが発生しますが、その一方でスタッフのモチベーション向上や長期的な安定雇用への貢献といった効果も期待できます。そのため、制度の仕組みを十分に理解したうえで、自院の経営状況や理念に合致するかどうかをしっかりと見極めることが重要です。

ここでは、退職金制度を導入することで得られる具体的なメリットと、あらかじめ把握しておくべきデメリットや注意点について、わかりやすく整理して解説します。

退職金制度を導入するメリット

歯科医院が退職金制度を導入することで、福利厚生の充実が図れますし採用にも有利になります。特に歯科衛生士の採用競争が激化している現在、退職金制度の有無は求職者にとって重要な判断材料となります。求人情報に「退職金制度あり」と記載することで、他院との差別化を図ることができます。

歯科衛生士などのスタッフのやる気やモチベーションにもつながります。長期勤続に対するインセンティブとして機能し、スタッフの定着率向上にも大きく貢献します。特に経験豊富な歯科衛生士の離職は、医院にとって大きな損失となるため、退職金制度によって定着を促進できる効果は非常に大きいです。

さらに、退職金制度は医院の信頼性や安定性をアピールする材料にもなります。制度が整備されていることで、求職者に対して「長期的に働ける職場」という印象を与えることができ、質の高い人材の確保につながります。また、現在働いているスタッフにとっても、将来に対する安心感を提供できるでしょう。

退職金制度を導入するデメリット

退職金制度を導入した場合には、就業規則や退職金規程に基づいて支給義務が発生します。制度設計によっては経営状況や特別な事情に応じて支給条件を調整できる場合もありますが、基本的には業績にかかわらず退職金を支給する必要があり、経営が厳しくなるリスクが高まります。特に個人経営の歯科医院では、予期せぬ経営悪化や設備投資の必要性が生じた際に、退職金の支給が経営を圧迫する可能性があります。

また、退職金制度の導入には、就業規則の整備や制度運用のための事務作業が必要となります。支給条件の明確化、積立金の管理、税務処理など、専門的な知識や継続的な管理が求められるため、医院の事務負担が増加します。

さらに、制度設計が不適切な場合、スタッフ間での不公平感や誤解を生む可能性もあります。例えば、支給条件が曖昧だったり、算定方法が複雑だったりすると、退職時にトラブルが発生するリスクがあります。一度導入した制度を後から大幅に変更することは困難であるため、慎重な検討が必要です。

歯科医院で退職金制度を導入する方法

退職金制度の導入は、ただ制度を設けるだけではなく、計画的かつ段階的に進めることが成功の鍵となります。制度の設計や運用には、法的な側面や費用負担、人事制度との整合性など、考慮すべき点が多岐にわたります。適切な手順を踏んで導入することで、スタッフに安心感を与えるだけでなく、経営側との認識のズレやトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

ここでは、制度の基本設計から実際の導入まで、歯科医院が退職金制度を導入する際に押さえておきたいステップや注意点について、具体的に解説していきます。

STEP1:退職金制度導入の目的と方針を決める

まずは、なぜ退職金制度を導入するのかという目的を明確にしましょう。採用力の向上、スタッフの定着率向上、福利厚生の充実など、具体的な目標を設定することが重要です。目的が明確になれば、制度設計の方向性も決まりやすくなります。

次に、医院の経営状況や将来の事業計画を踏まえて、退職金制度の規模や予算を検討します。現在の人件費や今後の採用計画、設備投資計画などを総合的に考慮し、無理のない範囲で制度を設計することが大切です。

また、制度の対象者についても検討が必要です。常勤の歯科衛生士のみを対象とするのか、パートタイムや有期契約のスタッフも含めるのか、歯科衛生士以外のスタッフも対象とするのかなど、医院の方針に応じて決定しましょう。対象者の範囲は、制度の複雑さや必要予算に大きく影響します。

STEP2:退職金制度内容の設計

制度の基本方針が決まったら、具体的な制度内容を設計します。支給条件として、最低勤続年数、支給対象となる退職理由、支給額の算定方法などを詳細に決定します。一般的には、勤続3年以上を支給条件とし、自己都合退職と会社都合退職で支給率に差を設けることが多いです。

支給額の算定方法については、前述した「基本給×勤続年数×支給率」方式や定額制など、医院の規模や管理の簡便性を考慮して選択します。支給率は勤続年数に応じて段階的に設定し、長期勤続へのインセンティブとして機能するよう工夫しましょう。

支給時期についても明確に定める必要があります。一般的には退職後1か月以内に支給されますが、就業規則次第は退職後〜半年以内に支払われる場合もあるため、退職前に確認しておくことをおすすめするとされています。医院の資金繰りを考慮して、適切な支給時期を設定しましょう。

STEP3:資金準備・積立方法の選定

退職金制度の運用には、将来の支給に備えた資金準備が不可欠です。積立方法としては、銀行預金での積立、生命保険を活用した積立、中小企業退職金共済制度の利用などがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、医院の状況に応じて選択しましょう。

銀行預金での積立は最もシンプルな方法ですが、金利が低く資金の増加は期待できません。生命保険を活用した積立では、税制上の優遇措置を受けられる場合がありますが、保険料の負担や解約時の元本割れリスクがあります。

中小企業退職金共済制度は、国の制度であり安全性が高く、掛金の一部が税制優遇の対象となります。ただし、支給条件や支給額に制約があるため、医院独自の制度と併用することを検討する場合もあります。どの方法を選ぶかは、医院の経営方針や資金状況を総合的に考慮して決定しましょう。

STEP4:就業規則・退職金規程の作成とスタッフへの説明

制度設計が完了したら、就業規則や退職金規程として文書化します。支給条件、算定方法、支給時期、支給手続きなどを明確かつ詳細に記載し、後でトラブルが発生しないよう注意深く作成しましょう。特に、支給対象外となる事由についても明記することが重要です。

規程の作成後は、労働基準監督署への届出が必要な場合があります。また、既存のスタッフに対しては、制度の内容を丁寧に説明し、理解を得ることが大切です。説明会を開催したり、個別に説明する機会を設けたりして、スタッフの不安や疑問を解消しましょう。

新しく採用する歯科衛生士に対しても、面接時や入職時に退職金制度について説明し、制度の内容を理解してもらうことが重要です。求人情報にも制度の概要を記載し、採用活動での強みとして活用しましょう。

STEP5:専門家への相談と運用開始

退職金制度の設計や運用には、労務管理や税務に関する専門知識が必要です。社会保険労務士や税理士などの専門家に相談し、制度の妥当性や法的な問題がないかを確認することをお勧めします。特に、税務上の取り扱いについては、適切な処理を行わないと後で問題となる可能性があります。

専門家のアドバイスを受けて制度を修正し、運用を開始します。運用開始後も、定期的に制度の見直しを行い、医院の経営状況や法改正に応じて必要な修正を加えていくことが重要です。

また、制度運用に関する記録の保管も重要です。各スタッフの勤続年数や基本給の変遷、退職金の支給履歴などを適切に管理し、必要に応じて確認できるよう整備しておきましょう。

歯科医院で退職金制度を導入する時の5つの注意点

退職金制度の導入は、医院の経営に長期的な影響を与える重要な決断です。導入することでスタッフの定着率や働きやすさが向上する一方で、制度の設計や運用には細かな配慮が求められ、対応を誤るとトラブルや不満の原因になりかねません。

とくに個人経営の歯科医院では、退職金制度が義務化されているわけではないため、自由度が高い反面、事前に十分な準備と理解が不可欠です。制度を正しく機能させるためには、法的な観点・財務面での負担・スタッフへの説明方法など、さまざまな角度から慎重に検討する必要があります。

ここでは、制度導入にあたって特に注意すべき5つのポイントを取り上げ、それぞれのリスクや対応方法について詳しく解説します。制度を有効に活用するための土台づくりとして、ぜひ参考にしてください。

計画的で無理のない支給水準の設定と資金準備が必須!

退職金制度の最も重要な要素は、医院の経営状況に見合った支給水準の設定です。過度に高い支給額を設定すると、将来の経営を圧迫するリスクがあります。逆に、あまりにも低い支給額では、制度導入の効果が期待できません。医院の売上規模、利益率、スタッフ数などを総合的に考慮して、適切な水準を設定しましょう。

資金準備については、長期的な視点で計画を立てることが重要です。現在のスタッフの勤続年数や将来の退職予定を考慮し、必要な資金を段階的に準備する必要があります。突発的な退職が発生した場合でも対応できるよう、余裕をもった資金計画を立てることが大切です。

また、医院の成長に伴ってスタッフ数が増加する場合は、それに応じて退職金の支給額も増大します。将来の事業計画と連動させて、制度の持続可能性を確保することが重要です。定期的に資金状況を確認し、必要に応じて制度の見直しを行う仕組みを構築しておきましょう。

支給対象者・条件を明確に規定する

特に、支給対象外となる事由については、慎重に検討する必要があります。懲戒解雇や重大な規律違反があった場合の取り扱い、無断欠勤や業務に著しく支障をきたした場合の取り扱いなど、想定される様々なケースについて事前に規定しておくことが大切です。

また、パートタイムや有期契約のスタッフを対象に含める場合は、常勤スタッフとは異なる条件を設定することも検討しましょう。勤務時間や契約期間に応じて、支給額や支給条件を調整することで、公平性を保つことができます。

退職金制度は導入後の継続性を重視する

一度導入した退職金制度を後から廃止したり、大幅に減額したりすることは、法的な問題を引き起こす可能性があります。また、スタッフの信頼を失い、離職率の増加を招く恐れもあります。そのため、制度導入時には、長期的な運用を前提とした設計を行うことが重要です。

経営状況の変化に対応するため、制度には一定の柔軟性を持たせることも必要です。例えば、著しい経営悪化が生じた場合の特例措置や、制度の見直しを行う条件などを予め規定しておくことで、将来の変更に対応できる仕組みを構築しましょう。

また、制度の継続性を確保するため、定期的な見直しを行うことも重要です。法改正や社会情勢の変化に応じて、制度の内容を適切に調整し、持続可能な制度運用を目指しましょう。

税務上の扱いを専門家に確認する

退職金の支給には、所得税や住民税などの税務処理が伴います。適切な税務処理を行わないと、後で税務署から指摘を受ける可能性があります。特に、退職所得控除の適用や源泉徴収の計算方法については、専門的な知識が必要です。

医院側でも、退職金の支給に関する損金算入や、退職金積立に関する税務処理について理解しておく必要があります。生命保険を活用した積立を行う場合は、保険料の損金算入や受取時の税務処理についても確認が必要です。

税務の専門家である税理士に相談し、適切な処理方法を確認することをお勧めします。また、税制改正により処理方法が変更される場合もあるため、定期的に最新の情報を確認することが重要です。

歯科衛生士のモチベーションや定着率向上に活かす

退職金制度の導入は、単なる福利厚生の充実だけでなく、スタッフのモチベーション向上と定着率向上の戦略的なツールとして活用することが重要です。制度の内容をスタッフに適切に説明し、長期勤続のメリットを理解してもらうことで、より大きな効果を期待できます。

キャリアアップと連動させた制度設計も効果的です。例えば、スキルアップや資格取得に応じて退職金の支給率を優遇したり、リーダー的な役割を担うスタッフに対して特別な制度を設けたりすることで、スタッフの成長意欲を促進できます。

また、制度の存在を採用活動でも積極的にアピールしましょう。求人情報への記載、面接時の説明、職場見学時の紹介など、様々な機会を通じて制度の魅力を伝えることで、質の高い人材の確保につながります。

歯科衛生士の退職金についてよくある質問(FAQ)

退職金制度については、歯科医院では制度が未整備な場合も多く、他院の状況が分かりにくいため、判断に迷うことも少なくありません。そこで、歯科衛生士の退職金に関して特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

基本的な制度から実務的な対応まで知っておくことで、これから制度を導入したいと考えている方はもちろん、すでに運用している方にも役立つでしょう。制度設計のヒントやトラブル予防の参考として、ぜひご活用ください。

歯科衛生士に退職金を支給するための最低勤続年数の目安は?

一般的には勤続3年以上を最低条件とする歯科医院が多いです。これは試用期間や短期間での離職を除外し、ある程度の貢献度を評価するためです。ただし、医院の方針により1年以上や5年以上と設定する場合もあります。

最低勤続年数を短く設定すると、多くのスタッフが対象となり魅力的な制度となります。一方、長く設定すると資金負担は軽減されますが、制度の魅力度は下がる可能性があります。医院の経営状況と採用戦略のバランスを考慮して決定しましょう。

非常勤やパートの歯科衛生士にも退職金を支給する必要がありますか?

法的には非常勤やパートスタッフに退職金を支給する義務はありません。しかし、労働時間や勤続年数に応じて支給することで、パートスタッフの定着率向上につながります。常勤職員と同等の制度を適用するか、別制度を設けるかは医院の判断次第です。

パートスタッフにも退職金を支給する場合は、労働時間に応じた比例計算や、別途設定した基準による支給が一般的です。制度設計時に対象者の範囲を明確にし、公平性を保つことが重要です。

自己都合退職と会社都合退職で退職金額に違いはありますか?

多くの歯科医院では、自己都合退職と会社都合退職で支給額に差を設けています。一般的には会社都合退職の方が高額に設定され、自己都合退職の1.2~1.5倍程度となることが多いです。これは会社都合退職の場合、スタッフに責任がないためです。

ただし、近年は差を設けない医院も増えています。シンプルな制度設計により、スタッフにとって分かりやすい制度とすることができます。医院の方針や業界の動向を考慮して決定しましょう。

歯科衛生士の退職金はどのタイミングで支給すればよいですか?

労働基準法では退職金の支給時期について明確な規定はありませんが、一般的には退職後1~2カ月以内に支給することが多いです。就業規則で支給時期を明確に定め、スタッフに周知しておくことが重要です。

支給時期を遅らせすぎると、スタッフの生活に支障をきたす可能性があります。一方、即座に支給するのが困難な場合は、分割支給や仮払いなどの方法も検討できます。

歯科衛生士の退職金にはどんな税金がかかりますか?

退職金は「退職所得」として扱われ、所得税や住民税がかかります。ただし、長年の勤続に対する報奨のため、税制面で優遇されています。

課税対象となる金額は、「(退職金の支給額 − 退職所得控除額)× ½」という計算式で算出され、退職所得控除額は下記のように計算されます。

  • 勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数20年超:800万円+70万円 ×(勤続年数−20年)

この控除を差し引いた後の半額に対して所得税が課税されるため、税負担は比較的軽くなります。また、退職金の支払い時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、源泉徴収のみで課税関係が終了し、原則として確定申告は不要になります。

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歯科衛生士の採用・定着率向上に悩む歯科医院経営者の皆様に、退職金制度の活用をおすすめします。適切な制度設計により、他院との差別化を図り、優秀な人材の確保と定着を実現できます。

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<参考資料>
歯科衛生士の勤務態度調査 報告書

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